大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)801 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人安部萬太郎の上告理由第一点及び第六点について。

上告人の意思能力の程度について、原判決の挙示する証拠の中、甲二号証の一二

によると、「本人は記銘力検査に不合格。理解、推理、判断、計算の能力の検査に

は合格。本人が自己の行為の結果を弁識するに足る能力を失つているとか、その能

力に高度の障害があるとは判断されない。」とあり、原審が、これらの証拠により、

上告人は意思能力を全く有しないものとはいえないと認定し、これと牴触する証拠

を排斥した点に、実験則ないし採証法則違背の廉は認められない。その他右認定を

左右するに足る証拠も見当らない。したがつて、原審が上告人において本件授権行

為に必要な能力を有していたものと認めたことは是認できる。論旨はすべて理由が

ない。

同第二点、第四点及び第五点について。

原審は、昭和八年頃上告人が急性脳炎により家政をとりえなくなつて以後、同人

において、妻D次いで長男Eに対し、順次自己に代つて家政を執りかつ家政に必要

な限度で自己所有の財産の管理処分をなす権限を与えた旨の事実を認定判示したも

のと解することができ、この点に関する原審の事実認定は挙示の証拠に照らして首

肯することができる。論旨はいずれも原判決の判示する事実を正解せずあるいはこ

れに反する事実に基く主張をなすものであつて、採用しがたい。

同第三点について。

原判決挙示の証拠によれば、所論の事実を認定できないわけではないから、論旨

は原審の事実認定を非難するに帰し、採用できない。

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よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 島 保

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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